2011年6月21日火曜日

【インタビュー】元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生





以下、MSCRのサイトより転記いたします。

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震災直後から、放射線のリスクを訴え続けてきた、元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生が、MSCRの取材に答えてくれました。



MSCR
スタッフ:今、福島の父母たちが、「子どもの年間被ばく限度量20ミリシーベルト」撤回を文科省に求めていますが、いまだ改善されていません。先生は、「年間被ばく限度量20ミリシーベルト」が子どもに与える影響をどうお考えですか。

﨑山先生:現在の状態が長期間に及ぶと、残念ながら健康被害が出る可能性が高まります。

国際放射線防護委員会(ICRP)のモデルで計算すると、年間20ミリシーベルト浴びたら「1万人に20人がガンになることになります。しかし、子どもは大人より何倍も放射線に対する感受性が強いため、少なく試算しても「1万人に40人の子どもがガンになる」かもしれません。

専門家の中には、「もともと日本人は、ふたりに1人がガンで死ぬのだから、年間100ミリシーベルト浴びても0.5%死亡率が高まるだけだ」といった人がいます。原子力安全委員会も同様な見解を発表しました。しかし、これはとんでもないことです。何度も言うように、子どもは大人より何倍も放射線に対する感受性が高いので、ガン死のリスクを背負うのは多くは子どもであるということを忘れてはなりません。もちろん、誰もがガンになるわけではありません。あくまでも“確率論”です。

しかし、放射線に「ここまでなら浴びても安全」という“しきい値”がないことは、国際的な合意事項になっていますから「20ミリシーベルトまでなら浴びても安全」というわけではないのです。 浴びた放射線値に比例して、ガンのリスクは高まります。ですから政府は、福島に住む人々の被ばく量をできるだけ軽減するように何らかの対策をとる必要があると思います。


MSCRスタッフ:長期間にわたる低線量被ばくの影響は、ガンだけではないそうですね。

崎山先生:そうです。チェルノブイリ事故で汚染された地域では、事故から25年たった現在、健康な子どもが全体の約2割位に減ってしまったといわれています。ほか8割の子どもたちは、免疫力の低下が顕著で何らかの疾患を抱えており、集中力がなくて知力の低下が見られる子どももいるそうです。また、子孫に影響が出る可能性もあるのです。

MSCRスタッフ:私たちはすでに、3月の水素爆発で「被ばくしてしまった」と思いますが、今後の生活で少しでもリセットすることはできるのでしょうか。

崎山先生:残念ながら、一度被ばくしてしまったものをリセットすることはできません。

しかし、汚染されていない土地に行けば、体内の汚染度は下がります。セシウムならば、大人で約100日で半分が排出されます。子どもの場合は代謝が早いので、もっと早く排出されるでしょう。ですから、できれば汚染地から離れるのが一番良いのです。しかし、長期にわたって避難できない方もいらっしゃるでしょうから、一時的にでも汚染地から離れることをおすすめします。

MSCRスタッフ:もう一つ心配なことがあります。食品の暫定基準値です。現在設定されている暫定基準値は、特に子どもには高すぎると思うのですが、食べても大丈夫なのでしょうか。

崎山先生:もちろん、できるだけ汚染されたものを食べないにこしたことはありません。

特に、汚染されやすい乳製品、肉、きのこ類、アブラナ科の野菜は注意したほうが良いでしょう。

そもそも、あの暫定基準値は、「この数値までなら食べても安全」だから設定されたわけではないのです。原発事故を起こしてしまって仕方がないから原子力安全委員会が「ここまでは我慢させよう」ということで決めた“ガマン値”なのです。でも、私たちがそれを我慢する必要があるでしょうか? 私たちは望んで被ばくしているわけではないのですから、汚染の原因を作った政府や東電に「責任をとってください!」と、もっと声をあげるべきだと思います。

汚染された食物を食べるのが心配ならば、きちんと国民ひとりひとりが声を上げ、責任を追及して、改善してもらうよう働きかけましょう。

(文責:和田秀子)

元記事はこちら
http://mscr2011.jugem.jp/?eid=75

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崎山比早子氏

医学博士 元放射線医学総合研究所主任研究員 高木学校  マサチューセッツ工科大学研究員、放射線医学総合研究所主任研究官をへて、高木学校のメンバーに

震災直後から、放射線のリスクを訴え続けてきた、元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生が、MSCRの取材に答えてくれました。




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