2012年4月30日月曜日

いわき市で子ども健康相談会を開催


 「子ども健康相談会」が428日(土)、CRMS(市民放射能測定所)と「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク・福島支援ワーキングチーム」の主催により、いわき市久ノ浜地区で行われた。この健康相談会は、放射線による健康被害を心配する保護者を対象に開かれたもので、12組の家族が参加した。

 会場となった久ノ浜地区は、津波でも大きな被害を受けた沿岸部の街で、原発から約30㎞の地点。
「いわきは線量が低くて安全だとアナウンスされていますが、原発事故直後、濃い放射性プルームが通過したんです。それに、久ノ浜の付近にはホットスポットがたくさんあり、10マイクロシーベルト超える場所もあるんですよ」と話すのは、子ども健康相談会のコーディネートをしてくれた、いわき市在住の新妻邦嗣さんだ。

 彼の言葉どおり、この日訪れた相談者の中には、「家の中が0.6マイクロシーベルトもあって外より線量が高い。小学生の子どもがいるのだが、このまま住み続けてよいのか心配だ」と話す方もいた。
 そのほか、「食べものには気を付けているのに、子どもの尿からセシウムが出た」「子どもが付けていたフィルムバッチの値が高かった」「祖父母が作った野菜を持ってくるのだが、子どもに食べさせて大丈夫だろうか」といった悩みも聞こえてきた。

 今回、父母たちの相談にのるために、ボランティアで東京から駆けつけた医師は、相談会終了後、次のように感想を述べた。
 「母親は、心底子どものことを心配している。ちゃんと子どもを守れていないんじゃないかと自分を責めている母親も多い。また、誰にも相談できずひとりで悩みを抱え込んでいる方も多く、話を始めると、みな一様にポロポロと涙を流していたのが印象的だった」

 孤独に戦っている母親の気持ちを思うと辛い。
 しかし、医師が相談者の言葉にじっくりと耳を傾け、「最大限に防御しつつも、ナーバスになりすぎず明るく戦っていこう」と声をかけると、母親たちの表情も和らいだ。
 また会場には、いわき市内で子どもたちを守る活動を続ける「母笑みネット」のお母さんや、地域の小学校の教師も手伝いに駆けつけ、相談者に「これからは地域でつながっていこう」と声をかけた。

 私自身がこの相談会を通して感じたことは、「放射能が怖い」とか「心配だ」という感情を、素直に口にすることを許さないゆがんだ社会の有様だ。
 「原発がすぐそこにあること」「今もなお事故は収束していないこと」「平常時と比べて放射線量が高いこと」などを考えると、不安を感じて当然だ。“復興”という名の下に、母親たちのこうした不安な気持ちが押し殺されることのないように――。そういった意味でも今後、こうした健康相談会を継続的に開いていく意味は大きいのではないだろうか。