2011年6月27日月曜日

福島県…健康被害が出たときの対処方法は「決まっていない」

先日の記事(下記参照)について、疑問に思っていたことを福島県庁の健康管理課に問い合わせてみました。


■「東日本大震災:全福島県民203万人、被ばく影響30年調査」
 政府・東電、基金1000億円 http://xtw.me/X3usQk

■ 福島県、線量計配布の市町村へ購入費全額補助 
 目視で表示確認できない「ガラスバッジ」タイプを配布 http://xtw.me/X105ve

Q 福島県民の被ばく影響調査を行うために、政府は1000億円規模の基金を創設するそうですが、健康被害を出さないために、「自主避難の補助金を出す」とか、「学童疎開を進める」とか、そういった対策をとるのが先決ではないでしょうか? 福島県内には、「避難したくてもできない」という方が多いと聞いていますが、福島県はそういった県民の要望に応えるつもりはありませんか?

A 今回、健康調査をすることになったのは、県民の皆さんの“不安”を軽減したい、というのがまず一番にあった。(放射線に対する)ストレスが原因で健康被害が出てはいけないので、実際に調査をして「これくらいだったら大丈夫ですよ」ということにしていきたい、と考えている。

「避難したくてもできない」という方については、国が定めている2030㎞の範囲意外は、「自分で避難できるならしたらいいよ」ということだから、当然、資金援助は出ない。今回、健康調査に1000億円を投じるということになったが、もし(自主避難したい)という皆さんの要望を聞いていたら、とても1000億円の基金では足りないと思う。


Q でも、健康調査をした結果が、必ずしもみんな「大丈夫」だとは限りませんよね?

A 確かに、それは分からない

Q 健康調査をして体調に異変が出てきたときは、どのように対処していく予定なんですか

A まだ決まっていない。まずは、どれだけ被ばくしたか計測させてください、ということなので。チェルノブイリでも、「この地区でガンが多い」ということで調べたところ、その地区の線量が多かった、ということが後に明らかになった。先に調査をしておけば、ガンになってからではなく、なる前に「ガンになる可能性がありますよ」ということを知らせることができる。

Q だから子どもたちに線量計も配っているわけですね。しかし、自分で線量の値が確認できない「ガラスバッチ」式の線量計が配られているそうですが、自分でも線量を確認できる方が安心じゃないですか? 自己判断もできるし

A 市によっては自分で確認できるタイプを配っているところもあると思う。県は、線量計を購入するための補助金を出しているだけで、どんな線量計を購入するのかは市町村が決定している。補助金の額はどの市も同じなので、各市で配布する子どもの人数を考えて、どの線量計を購入するか決めたのだと思う。予算の都合だろう。

Q 今後、とくに子どもなどの健康調査結果が思わしくなかった場合、県としては学童疎開など、何らかの措置をとる予定はないのでしょうか

A 今のところ、報道されている以外の予定はないが、今後の動きについては分からない。

Q 「子どもの健康だけは守ってほしい」というのが、県内外問わず国民の気持ちではないかと思いますが、知事にこうした要望を伝える場合、どのような方法が最も効果的ですか?

A できれば何らかの団体で、知事宛に要望書を提出してほしい。ひとりだけの声では、一時的に話をうかがうだけになってしまうので。また、県のホームページにメールアドレスが掲載されているので、そちらから意見を送ってもらってもよい。


福島県庁
960-8670 福島県福島市杉妻町2-16 
電話
024-521-1111 (代表) mail: chijikoushitsu@pref.fukushima.jp


2011年6月25日土曜日

意思表示をしないとマズイ

先日、こんなショッキングな記事が立て続けに掲載されていた。

『被爆した福島の子供たちが東京で健康診断』

(フリージャーナリスト・田中龍作ジャーナル)
http://tanakaryusaku.jp/2011/06/0002535

『子に体調異変じわり』(616日の東京新聞

http://heiheihei.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2011/06/16/_0002.jpg

これらの記事によると、福島の放射線量が高い地域に住む子どもたちの間で、“低線量被ばく”の症状と見られる「鼻血」「下痢」「目の下のクマ」「倦怠感」などを訴える子どもが増えている、ということだ。

実際に、都内や福島県内で開かれた健康相談会には、子どものことを心配する母親が多数訪れたという。

 田中氏の記事の中で、子どもを診た医者はこう警告を発している。

福島に戻るな。住み続けると19才までに発ガンする可能性がある。早ければ1年後に発症する」

 自分の子どもがこんなことを言われたら、親はどんな思いがするだろうか…・

「さっさと逃げればいい」

と思う方も多いだろう。しかし、政府が“年間被ばく限度量”を、これまでの年間1ミリシーベルトから一気に20ミリシーベルトにまで引き上げてしまったために、20ミリを1ミリでも下回る地域に住む人々は、避難したとしても政府から一円の保証金ももらえない。

放射能から逃れられても、「仕事を失うリスク」「自宅や故郷を捨てるリスク」「人間関係を断ち切るリスク」…など、さまざまなリスクを背負い込むことになるのだ。

また、母親が子どもを連れて逃げたくても、夫や親戚が避難に反対していたり、周りから「自分だけ逃げた」と非難されたり、子どもが友達と離れるのを嫌がったりするケースも多い。

 ならば、「逃げられる人」だけ逃げたらよいのだろうか?

家が裕福で、しがらみも少なく、周囲や家族の理解もある、そんな家の子どもだけ逃げられたら、それでいいんだろうか?

国策で進められてきた原発が爆発して、子どもには何の非もないのに、逃げられない子どもの一部はガンや白血病になったり、体力や知力が低下したり、子孫に影響が出たりしても「仕方がない」のだろうか?

そんなこと、どうしても解せないし、納得がいかない。

横並びが大好きで、どこまでも「他人と一緒」じゃないと気が済まない社会主義みたいな日本なのに、どうしてこと“救済”になると、いきなり自己責任を押しつけられるのだろうか?

 「逃げたくっても逃げられない人」がいる限り、政治判断で「学童疎開」でもしてもらうしかない。

こんな時のために政治家はいるんだから。

みんなで、政治家を動かしましょうよ。

福島在住の知人が、子どもたちを守るための署名を集めているので、ぜひご協力お願いします。
Children firsthttp://w.livedoor.jp/fukushimagenpatu/


ちなみに、チェルノブイリ原発事故のときは、「年間被ばく量が5ミリシーベルト」を超える地域は、避難エリアに指定されている。妊婦、子どもは真っ先に避難させられた。
 

それでも、チェルノブイリ原発事故から25年たった現在、周辺の地域では、健康な子どもが2割、残り8割のこどもは甲状腺ガンや悪性腫瘍、深刻な体力・知力の低下が報告されているという。

しかし今日本では、妊婦や子どもにまで「年間被ばく限度量20ミリシーベルト」を適用している。平常時では、原発労働者でも年に20ミリシーベルトを浴びることなんてないそうだ。

 このまま放っておくと、日本の子どもたち(特に福島と周辺の高線量地域)は、チェルノブイリ以上の悲惨な運命をたどることになるかもしれない。

 しかし国家にとっては、そんなことは「取るに足りない」ことのようだ。

避難資金はビタ一文出さないくせに、放射線の影響をリサーチする健康調査には、なんと1000億円つぎこむのだそうだから…。

「東日本大震災:全福島県民203万人、被ばく影響30年調査」
◇政府・東電、基金1000億円 http://xtw.me/X3usQk

 私達は、ただの“モルモット”ということなのだろう。

これだけのお金を避難に充てれば、いったいどれほどの人の健康が守られただろう。

いい加減、目を覚まそう。バカにされているんだから、あたし達は。

2011年6月21日火曜日

練馬区計測会について

ツイッターで意見交換させていただいている練馬区在住のみなさまへ情報共有です。

掲題の件ですが、下記のように叩き台を作成してみました。
こちらに関するご意見と、設問に関しましてみなさまのご意見を募集したいと思います。
コメント欄にどしどし書き込んでください。

よろしくお願いいたします!

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【活動その1】 それぞれの計測器を持ち寄り、練馬区内の主要な場所を計測したいと思います。
  どこを計測地点にするのが良いと思いますか?複数回答可能。

1.練馬区内の小中学校、および幼稚園・保育園
2.西武沿線の各駅周辺
3.練馬区内の公園
4.その他

計測の結果を受けて
→ 数値に応じて、除線の依頼を区に働きかける
→教育委員会に適切な措置を呼びかける


【活動その2】自宅周辺および、自宅内の空間線量を下げるための方法を模索したいと思います。

メンバーの自宅周辺および室内を計測し、空間線量の高くなっている箇所をチェックする ※希望者のみ
 (例:室外なら屋根や壁、植え込みなど、室内ならカーペット、窓際、ソファなどを計測)


計測の結果を受けて
→ 区で専門家を呼び、効果的な除線方法のレクチャーを受ける
→みんなで除線作業を行う

その他、ご意見がありましたらコメント欄に書き込んでください。

よろしくお願いいたします。








【インタビュー】元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生





以下、MSCRのサイトより転記いたします。

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震災直後から、放射線のリスクを訴え続けてきた、元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生が、MSCRの取材に答えてくれました。



MSCR
スタッフ:今、福島の父母たちが、「子どもの年間被ばく限度量20ミリシーベルト」撤回を文科省に求めていますが、いまだ改善されていません。先生は、「年間被ばく限度量20ミリシーベルト」が子どもに与える影響をどうお考えですか。

﨑山先生:現在の状態が長期間に及ぶと、残念ながら健康被害が出る可能性が高まります。

国際放射線防護委員会(ICRP)のモデルで計算すると、年間20ミリシーベルト浴びたら「1万人に20人がガンになることになります。しかし、子どもは大人より何倍も放射線に対する感受性が強いため、少なく試算しても「1万人に40人の子どもがガンになる」かもしれません。

専門家の中には、「もともと日本人は、ふたりに1人がガンで死ぬのだから、年間100ミリシーベルト浴びても0.5%死亡率が高まるだけだ」といった人がいます。原子力安全委員会も同様な見解を発表しました。しかし、これはとんでもないことです。何度も言うように、子どもは大人より何倍も放射線に対する感受性が高いので、ガン死のリスクを背負うのは多くは子どもであるということを忘れてはなりません。もちろん、誰もがガンになるわけではありません。あくまでも“確率論”です。

しかし、放射線に「ここまでなら浴びても安全」という“しきい値”がないことは、国際的な合意事項になっていますから「20ミリシーベルトまでなら浴びても安全」というわけではないのです。 浴びた放射線値に比例して、ガンのリスクは高まります。ですから政府は、福島に住む人々の被ばく量をできるだけ軽減するように何らかの対策をとる必要があると思います。


MSCRスタッフ:長期間にわたる低線量被ばくの影響は、ガンだけではないそうですね。

崎山先生:そうです。チェルノブイリ事故で汚染された地域では、事故から25年たった現在、健康な子どもが全体の約2割位に減ってしまったといわれています。ほか8割の子どもたちは、免疫力の低下が顕著で何らかの疾患を抱えており、集中力がなくて知力の低下が見られる子どももいるそうです。また、子孫に影響が出る可能性もあるのです。

MSCRスタッフ:私たちはすでに、3月の水素爆発で「被ばくしてしまった」と思いますが、今後の生活で少しでもリセットすることはできるのでしょうか。

崎山先生:残念ながら、一度被ばくしてしまったものをリセットすることはできません。

しかし、汚染されていない土地に行けば、体内の汚染度は下がります。セシウムならば、大人で約100日で半分が排出されます。子どもの場合は代謝が早いので、もっと早く排出されるでしょう。ですから、できれば汚染地から離れるのが一番良いのです。しかし、長期にわたって避難できない方もいらっしゃるでしょうから、一時的にでも汚染地から離れることをおすすめします。

MSCRスタッフ:もう一つ心配なことがあります。食品の暫定基準値です。現在設定されている暫定基準値は、特に子どもには高すぎると思うのですが、食べても大丈夫なのでしょうか。

崎山先生:もちろん、できるだけ汚染されたものを食べないにこしたことはありません。

特に、汚染されやすい乳製品、肉、きのこ類、アブラナ科の野菜は注意したほうが良いでしょう。

そもそも、あの暫定基準値は、「この数値までなら食べても安全」だから設定されたわけではないのです。原発事故を起こしてしまって仕方がないから原子力安全委員会が「ここまでは我慢させよう」ということで決めた“ガマン値”なのです。でも、私たちがそれを我慢する必要があるでしょうか? 私たちは望んで被ばくしているわけではないのですから、汚染の原因を作った政府や東電に「責任をとってください!」と、もっと声をあげるべきだと思います。

汚染された食物を食べるのが心配ならば、きちんと国民ひとりひとりが声を上げ、責任を追及して、改善してもらうよう働きかけましょう。

(文責:和田秀子)

元記事はこちら
http://mscr2011.jugem.jp/?eid=75

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崎山比早子氏

医学博士 元放射線医学総合研究所主任研究員 高木学校  マサチューセッツ工科大学研究員、放射線医学総合研究所主任研究官をへて、高木学校のメンバーに

震災直後から、放射線のリスクを訴え続けてきた、元放射線医学総合研究所・主任研究官の崎山比早子先生が、MSCRの取材に答えてくれました。




2011年6月4日土曜日

福島を訪れた雑感


昨日、雑誌の取材のため福島市を訪れた。

幼い子どもを持つママや、幼稚園・学校の先生、そして「放射能から子ども守る福島ネットワーク」の中手さんともお会いし、直接お話を聞くことができた。

その詳細は、記事でご紹介するとして、いくつか雑感を記しておきたいと思う。


■美しくて危険な公園、芝生の放射線値は2.2msv/h

 私が福島を訪れるのは、昨日が生まれて初めてだった。土地勘もない。原発の状況も予断を許さない。もちろん放射線値は高い。福島に住み続けている人に申し訳ないと思いながらも、正直なところ、取材に行く前は少しナーバスになっていた。

放射線計測器は、タイプの違うものをふたつ持ち、帽子にマスク、長袖のシャツに長ズボンで完全防備した。福島の駅に降り立ったとき、計測器は0.56μsv/hを示した。始めて見る高い値にドキドキする。

 しかし、一歩町中に出ると拍子抜けした。この日の福島市は夏のような暑さだったこともあり、若い女性も肌を露出して歩いている。マスク率も低い。

駅前で福島市の地図を眺めていると、警備員さんが「探している場所はみつかった?」と笑顔で声をかけてくれた。目的地である“新浜公園”の場所を訪ねてみると、歩いて10分ほどだという。

 街の人は親切で、空は晴れていて、とても好感の持てる街――。それが福島の印象だった。

 「なんだ大丈夫じゃないか…」

気持ちを緩めそうになって、ふと計測器を見た。値は0.8μsv/hを示していた。放射線管理区域よりも高い。あぁ、やっぱり大丈夫じゃない。そう思い直して街を歩き出す。

とにかく暑い。マスクをしていると息苦しくなって、それこそ鼻血が出てしまいそうだ。今夏は長袖で登校する、という福島の子どもらは、どれほど暑いだろうか。新浜公園に着くまでに、すっかり汗ばんでいた。

新浜公園は広々として、芝生が青く、子どもたちの遊具がいくつか設置されている。思わず寝転びたくなどほど、芝生はきれいに整備されていた。しかし、人影はない。なぜならこの公園は、芝生の放射線量が3.8μsv/hを超え、しばらくの間、屋外活動に制限が課されていたからだ。現在は、解除されているが、子どもたちの姿は戻っていない。

ひとりで園内を清掃していた管理人の方に声をかけると、待ってましたとばかりに話してくれた。

「ここはね、近くに学校とか幼稚園があるから、いつもたくさんの子どもたちが遊びに来ていたんですよ。噴水もあるから、夏は幼稚園の子どもたちが水遊びしたりしてね。でも、震災以降は全く寄りつかなくなりました。残念ですね。ここまで芝の手入れをするのは大変だったんですよ」

 簡易型の放射線計測器で芝の上を計ると、2.2μsv/ hを示した。美しくて危険な公園。管理人さんは、それでも黙々と園内の手入れを続けていた。



■周りから声をあげてほしい

 その後、市内にある「青空幼稚園たけのこ」におじゃまして、先生を含め、3人のママにお話を聞くことができた。 

その内容は雑誌で発表したいと思うが、ひとつだけ、どうしもここで伝えておきたいことがある。それは、あるママのこんな声だ。

「他県の方から見たら、こんなに放射線値が高い地域にいつまでも住んでいるなんて、考えられないでしょう。 なぜ早く出ないのか、そう疑問に感じている人が多いのは知っています。でも、福島の中にいたら分からなくなってしまうんです。みんな全く何事もなかったかのように生活しているから――。原発が爆発した直後は、みんなマスクも付けていたし、もっと警戒していたんですよ。でも、県の放射線リスクアドバーザーである山下先生が“健康には全く問題ありません”と言った。ラジオや新聞、そして一日3回くらい回ってくる回覧板で何度も山下さんの発言を刷り込まれました。私だって、最初はそれを信じていたんです。あとから自分で調べて“おかしい”と気づいたけど、今でも信じていたい人がたくさんいます。なぜなら今の生活を失いたくないからです。だから、どうか県外の方にもっと声をあげてもらいたい。あんたたち! そんなところに暮らしていたらダメだよって、もっと言ってほしいんです。そうすれば、目をさましてくれる人も増えるはずだから」


放射能は目に見えない。だから今の平和がいつまでも続くと信じたい気持ちは理解できる。

私ですら、福島を訪れてごく普通に暮らしている人々を目の当たりにして、気を緩めそうになった。しかし、日常的に1μsv/hを超えるような環境は、どう考えても普通ではないのだ。

 

 この日、たけのこ幼稚園では、車で1時間半ほど離れた山形県の米沢まで園児を連れて遊びに行っていたのだという。「福島ではもう外遊びはできませんからね。だからたまには、思いっきり子どもを遊ばせてやりたいと思って」と話すのは、園長の辺見先生。

 子どもたちは、米沢に行っても口を手で覆おうとするらしい。先生が、「ここは安全だから、思いっきり空気を吸っても大丈夫よ」というと、おそるおそる手を外すという。

 私たちが初めて経験する低線量被爆――。なにが正しいのか、誰も正解は持っていない。

でも、間違いなく言えるのは、やはり子どもが口を覆わなくてはならない状況はおかしいってこと。それを訴え続けることは、必要ってことだけだ。