2011年4月28日木曜日

橘小学校がHPで放射線の測定値アップを中止して、そして再開した件について

4月26日、郡山市の橘小学校ホームページに、『橘小放射線測定値報告中断のお知らせ』と題したコメントがアップされた。(下記参照)

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               『橘小放射線測定値報告中断のお知らせ』

先日来、本校独自で実施した校舎内及び校庭等の放射線測定値をホームページに掲載してまいりましたが、インターネット等での測定値の発表は、文部科学省や県など公的な機関が測定したものに限るとのことから、今週からホームページへの掲載は中断することになりました。なお、学校独自の調査はこれまでどおり継続し、数値の推移等については、学校便り等で保護者の皆様にお知らせしてまいりますので、ご理解いただきますようにお願い致します。
【緊急情報】 2011-04-26 10:31 up!


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そして翌々日の28日には、なぜホームページで数値をアップするのを辞めたのか、その理由がアップされていた。(下記参照)

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             『校内における放射線値のお知らせについて』

先日、これまで行ってきた放射線値の掲載について、中断するとをお知らせしました。その理由として、まず第一に、現在、国や文部科学省から正確な数字が公表されていること。本校の数値は、あくまで教職員の手によるものであり、ご家庭に参考としてお知らせすることと考えておりました。
第二に、私たちが情報をお伝えするべき対象者は、まず、保護者が第一であります。したがって、ホームページよりも文書をもってお知らせしたほうが、各家庭に確実に伝わると考えました。
なお、測定については現在も継続しており、結果については定期的に文書をもってお知らせしてまいります。その旨、ご理解をいただきたいと思います。(文責 橘小学校長 佐藤守廣)
【緊急情報】 2011-04-28 11:50 up

橘小学校HP http://xtw.me/XVdWll

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文部科学省や県など公的な機関が測定したものに限るとのことから」のくだりが、いかにも上から圧力がかかったようなニュアンスであったため、インターネット上には、「まるで戦時中じゃないか」との批判が飛び交った。
もちろん私自身も、「きっと圧力が働いたに違いない」と疑った。しかし、本当のところは直接確かめてみないと分からない。そこで、「橘小学校」「文部科学省」「郡山市教育委員会」に電話をして、直接確認してみることにした。下記がそのやりとり。


【橘小学校】
Q ホームページ上で放射線値を公表しなくなったのは、文科省からの指示があったからですか?

A いろいろ誤解を生んでしまったんですが、違うんですよ。指示はありません。HPでうまく説明が伝わらなかったようで、たくさんお問い合わせをいただいているのですが、これはあくまで橘小学校独自の判断です。と言いますのは、私たち教員も、忙しい中、「決まった時間」「決まった場所」「決まった高さ」で、なるべく計測しようとしているのですが、計測値が正確かどうか分からないものですから、数字だけが一人歩きしてもまずいなと思ったんです。最近では、文科省からも線量マップが発表されていますし、私どもと違いまして(文科省では)正確な数値をおはかりになっていると思うんです。だから、いったん公表するのは辞めようということになりました。もともと保護者に伝えたくて始めたのですが、ホームページを開く保護者が少なくて、文書で配ってくれないと分からないという声もあったものですから、ホームページでの公表はやめて文書のみで配布することにしたんです。しかし近隣の方からも、「ぜひ公開してほしい」という声をいただいたので、毎日は無理ですが、保護者にお渡しする文書をPDFファイルにしてアップしようということになりました。もちろん、日々計測はしていますので、万が一値が大きく変わるようなことがあれば、すぐにお知らせしたいと思っています。

【文科省】
Q 郡山市の橘小学校が、ホームページ上で放射線値を公表しなくなったのは、文科省の指示ですか?

A いえ、本日はそういうお問い合わせが多いのですが、文科省からそのような指示を出したということはありません。学校の判断でアップを中止したようです。言い方は悪いですが、文科省が圧力をかけた、といったことはありません。私も橘小学校のホームページを確認したのですが、今後は保護者向けに文書を持って伝えるということが書かれていました。

Q 分かりました。ついでにお聞きしたいのですが、現在、郡山市では、一部の学校でグラウンドの除染作業を行うことになっているようですが、これを福島県全域で行うようなことは考えていないでしょうか?

A まだ福島県全域での除染作業がどうなるかについては、私のほうでは把握していません。ただ、国のほうでも「やらなくちゃいけない」と判断した場合には、国費を使ってといいますか、福島県の子どものためにやっていかなければならないことだと思っています。

Q その判断はいつ頃までにする予定ですか?

A それは、ここではすぐに言えませんが、いろんなところで判断していかなくてはならないので。しかし、何ヶ月も後ということでは遅いので、早急にということで対応したいと思っています。


【郡山市教育委員会】
Q  橘小学校がホームページ上で放射線値を公表しなくなったのは、郡山市教育委員会の指示ですか?

A ええ、そうなんです。いっさい明かしたくないというわけではないのですが、放射線の値については、日本はもちろん世界的にシビアな見方をしている方が多く、非常に関心を集めているんです。それで、各学校で測定はしているんですが、測定のプロではなくて学校の先生方が計っているので、必ずしも正確な値とは限りません。それを世界中の方々がご覧になり、さまざまな反響が寄せられています。たとえば、「この数値では危険だ」とか、逆に「これくらいなのに、なぜ活動させないのだ」と、いった意見です。それで、安易に計測値をホームページで公開することは、かえって混乱を招くことになると判断し、ホームページでアップしないでほしいということを(橘小学校)に伝えました。しかし、もし問い合わせがあった場合には、「先生方が計った値なので…(正確ではないかもしれませんが)」ということで、お伝え下さいということは言っています。

Q では文科省から指示があったわけではなく、市の教育委員会さんのご判断ということですね。

Aはい、そうです。心配している親御さんが多いので、各学校に計測器を配布して計測しています。だんだん線量は減ってきているものの、まだ安心できる状態ではありませんので、随時計測しながら保護者にはお知らせしています。ただ、ホームページへアップする場合は、保護者だけでなく他の方もご覧になるので、専門家が計ったデータではありませんし、安易にアップすることはどうかな、ということで判断を致しました。先生方には、計測を続けていただいて、数値が急に上がったなどの場合はすぐに連絡をもらうことになっています。学校の中でも、数値の低い場所や高い場所があるので、高い場所には子どもたちを近づけないようにしてもらっています。


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以上が、「橘小学」「文部科学省」「郡山市教育委員会」に問い合わせたときのやりとり。

橘小学校には相当数の問い合わせが寄せられたようで、この時点で「保護者に配るための文書をPDFファイルでアップする」ことを決定していたようだが、文科省、郡山市教育委員会はまだ知らないようだった。(私も時間がなく念を押して確認できなかった、すみません)

ついでに、放射線測定に詳しい知人にも問い合わせてみたが、「空気中の線量なら、誰が計っても大差はない」とのことだったので、先生方が計測している数値も、それほど不正確ではないと思われる。

何はともあれ、週に1回でも数値が公開されることになったことは一安心だ。
市民ひとりひとりの声はバカにならない。「おかしい」と思ったことは、すぐに声に出して言う、問い合わせる、ということが大切だということを痛感した。

また、最後にひとつ付け加えておくと、今回、電話で対応してくれた職員の方は、3名とも誠意を持って答えてくれた。その対応からは、少なくとも「親身に子どものことを考えている」という気持ちは伝わってきた。なかなか本音を言えない “大人の事情”もあるのだろうが、今は、“子どもの事情”を最優先に考えてほしい。

これからも、声を上げ続けよう。


4.30 追記
放射線の測定について、「正しい値を測定するためには一定の知識が必要だというご意見をいただきました。その旨、訂正させていただきます。
下記、測定に関するつぶやきがまとめられておりますので、ご参照ください。
http://togetter.com/li/128217





2011年4月26日火曜日

「Twitterでつぶやいて!」福島県の教員の訴え

「とにかく子どもを守りたいんです」
電話口から聞こえる声は、覚悟のこもったものだった。声の主は、福島県内のある小学校で教員を務める川口真理さん(仮名・32歳)。
立場上、名前を公表できないが…と前置きしたうえで、「福島の子どもたちが危険にさらされている状況を伝えたい」と、匿名でインタビューに応じてくれた。

その全文をご紹介する前に、まずは現在、福島県内の小中学校や幼稚園が置かれている状況を、もう一度整理しておきたい。
文部科学省は19日、子どもの年間被曝量を20ミリシーベルト以内とし、校庭の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以上なら「屋外活動を1時間以内」にとどめ、未満なら「通常通りで問題ない」と公表した。
しかし、年間被曝量20ミリシーベルトという数値は、原子力施設などで働く人々が、不要な被爆を避けるために法令で定められている「放射能管理区域」の基準(3ヶ月で1.3ミリシーベルト)をはるかに上回る値である。大人より放射性物質に敏感な子どもにとって、果たしてこの数値は「大丈夫」と言えるレベルなのだろうか――。すでに福島県内の学校の約75%が、この「放射能管理区域」レベルに達しているという。
こうした状況をふまえて、川口さんのインタビューを読んでいただきたい。

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■できることなら、この地を離れてほしい

私たち教員は、立場上、大きな声で「子どもを学校に通わせるな」とか「校庭を使わせるな」ということは言えません。なぜなら、国が「年間20ミリシーベルトまでなら子どもが被爆しても大丈夫」と公言してしまったからです。長崎大学や広島大学の教授までもが「外で遊んでも大丈夫」という声明を出していて、そういった資料が私たち教員にも配布されているので、それに基づいて動かなくてはならないのです。でも、校庭の植え込みやや水たまりなどでは、かなり高い数値の放射線量が計測されています。とても、「安全です」と言える状況ではないのです。本当は、「この地を離れて!」と子どもたちに言いたい。でも、公に言うことはできません。せめて新学期の再開を遅らせてくれれば……と願っていたのですが、それもかないませんでした。なんとかしたいけど、何もできない――。教員たちの多くは、罪悪感を抱えながら子どもたちと接しているのです。

■心配をタブー視する空気

もちろん、父兄の方々も心配しています。子どもを持つ親ですから、この状況で心配しないわけはありませんよね。でも、「心配だ」と声に出すことが、どこかタブー視されているような空気があります。「政府が大丈夫だと言っているのだから、信じるしかない」そう思って、目をつぶっておられるのでしょう。
避難できるならそれにこしたことはありませんが、どのご家庭も、とても避難できるような状況じゃないんです。先日、授業参観があって、父兄の方々と話をしたのですが、ローンを抱えている方もいれば、責任ある仕事に就いている方もいる。夫が理解を示さない方や、家族が離ればなれになるのがイヤだという方もいるんです。もちろん、ご近所の目もありますからね。そういった複雑な状況が絡み合っているので、子どもたちを疎開させたくても、我慢せざるえない状況の方が多い。私の学校で疎開した生徒は、全体のわずか1%程度にとどまっています。せめて政府が、子どもたちだけでも学童疎開させてくれればいいのですが……。

■子どもを地べたに座らせる学校も

子どもたちへの被爆対応は、学校によって温度差があります。私の学校は、他校と比べて動きが速かった。すぐに文科省から放射線測定器を借り、各クラスで毎日測定をして、数値をHPでアップしています。また放射性物質から子どもを守るためのパンフレットを作成して、保護者たちに配ったりもしました。そのほか、なるべく子どもたちを校庭に出さないようにしたり、マスクの着用や手洗い、うがいの慣行を徹底させたりしています。
しかし、他校の話を聞くと、始業式早々に避難訓練を行い、グランドの地べたに子どもを座らせたり、「国が大丈夫だと言っているんだから体育の授業もしなくてはならない」ということで、通常通り外で授業を行ったりしているところもあります。中学校では、すでにグラウンドで部活動を始めているところもあるようです。規模が大きい学校ほど、融通がきかず、国が「大丈夫」と決めたらそれに従うしかないという現状があります。

■何が子どものため?

子どもたちも、大きな不安を抱えています。でも、それを「見せまい」としている。そこが辛いんです。私も、「こんなときだからこそクラスの結束を強めようね」と、子どもたちに話していますが、本当にそれで良いのだろうか…と悩みます。だって、絆が強くなればなるほど、子どもたちは「このクラスのみんなと一緒にいたい」と思ってしまう。この学校を離れられなくなるのです。いっそ、「こんな学校、面白くないから転校してやる!」と思ってくれた方がいいのかもしれない。安全な地域の学校へ移ったほうが、本当は彼らのためなのです。

Twitterでつぶやいて!

とにかく、子どもを守りたい。学校ごと避難できれば一番良いのですが、そんなことをすれば保証がかさみますから、政府は絶対に決断しないでしょう。自主避難できる人はしてほしいけれど、それもなかなか難しい。ですからせめて、体育や部活動の自粛をしたうえで、土壌の除染作業をまずやってほしい。政府はなかなか動こうとしないと思いますが、声を上げ続けなくてはなりません。こうしている間にも、子どもたちは被爆し続けているのです。
この記事を見た人が、たとえひとりでも、福島の子どもたちのためにアクションを起こしてくれたら――。「福島の子どもたちを助けて!」とTwitterでつぶやいてくれるだけでもかまいません。それだけでも、世論を喚起し、政府を動かすキッカケになるのではないかと思っています。


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不安をあおるつもりはない。政府や研究者が「大丈夫だ」と言っているのだから「問題ない」と思う人もいるだろう。しかし、たとえ数パーセントでも危険性があるなら、できうる限りの対策を講じる義務が政府にはある。そして、政府を動かすのは他でもない私たちひとりひとりの“声”であることは間違いない。




参照:文部科学省 福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm

東洋経済 「確実に広がる放射能、福島県内学校の75%が放射能「管理区域」レベルの汚染」

http://xtw.me/X4nM6t



2011年4月23日土曜日

福島に住むママ&パパたちの叫び

◇みすみす被爆させていいのか……


現在、福島で子育てをする親御さんたちの、悲鳴にも似た叫び声が、Twiiterで多く上がっている。
なぜなら、文科省が子どもの年間被曝量の暫定基準値を20ミリシーベルトに設定したため、本来なら「放射線管理区域」になるほど高い放射線量が計測されている学校にも、子どもたちが通わねばならない事態になっているからだ。

下記は、福島県郡山市在住で、小学生の子どもを持つパパのツイートまとめたものだが、読んでいるだけでも胸がつまってしまう。

ツイートのまとめはこちら

このパパさんは、
「放射線量の高い学校に子どもを黙って通わせて、みすみす被爆させて良いのか……
と悩み続け、
「保護者の気持ちが一つになれば、子どもの通学を止めさせよう」と、Twitter上で呼びかけた。

パパさんがツイッターを始めて、わずか2~3日でフォロワーは500人台へ。
多くの激励メッセージが寄せられた。
そしてついに、

バカな親の決断です。これから学校へ子供を迎えにいきます。そして明日から学校へは通わせません。今はあまりにも統一性がない。国も、役人も、学校も、先生方も。私は悪魔をやめる。何日間かわからないが、勉強なんていつでもできる。そう、命さえあれば。」とツイート。

しばらく子どもを学校に通わせないことを決意した。

これに対して、一部のフォロワーからは、学校に通うこと以上に有意義な時間、経験、チャンスを子供に与えることができるんですかね。この方は」といった批判的な意見も寄せられたが、多くは「バカな決断ではありません。立派だと思います!」といった激励のメッセージだった。

「通わせない」は、ハードルの高い選択

きっと、このパパさんのような気持ちで、日々子どもを学校に送り出している親御さんは多いだろう。
「だったら、休ませればいいじゃないか」「疎開させればいいじゃないか」
と思う方もいるかもしれないが、実際にはそう簡単ではないようだ。

家族の間でも、「通わせる、通わせない」で意見が対立していたり、近所の目を気にしたり、さらには「子どもを不安にさせまい」と、できるだけ普段通りに振る舞おうとしたりしている方も多いからだ。
また、長期間学校を休ませることで「成績」や「内申書」に影響がでることも考えられるため、なかなか思い切った決断ができないでいる。

このパパさんのように、「今日も子供たちは義務教育という鎖につながれて、被爆させられている。行ってらっしゃいと送り出す我々は悪魔以外何者でもない……といったやりきれない気持ちで、子どもを学校にやっている親御さんも多いのではないだろうか。

ただ、子どもの受け入れを表明している県は、数多くある。
他県に住む私たちが、せめてできることといえば、選択肢を用意して、ちょっとだけ背中を後押しすることかもしれない。

またこのブログでも、被災地からの子どもを受け入れている学校などをピックアップして、紹介していきたいと思う。