2011年4月26日火曜日

「Twitterでつぶやいて!」福島県の教員の訴え

「とにかく子どもを守りたいんです」
電話口から聞こえる声は、覚悟のこもったものだった。声の主は、福島県内のある小学校で教員を務める川口真理さん(仮名・32歳)。
立場上、名前を公表できないが…と前置きしたうえで、「福島の子どもたちが危険にさらされている状況を伝えたい」と、匿名でインタビューに応じてくれた。

その全文をご紹介する前に、まずは現在、福島県内の小中学校や幼稚園が置かれている状況を、もう一度整理しておきたい。
文部科学省は19日、子どもの年間被曝量を20ミリシーベルト以内とし、校庭の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以上なら「屋外活動を1時間以内」にとどめ、未満なら「通常通りで問題ない」と公表した。
しかし、年間被曝量20ミリシーベルトという数値は、原子力施設などで働く人々が、不要な被爆を避けるために法令で定められている「放射能管理区域」の基準(3ヶ月で1.3ミリシーベルト)をはるかに上回る値である。大人より放射性物質に敏感な子どもにとって、果たしてこの数値は「大丈夫」と言えるレベルなのだろうか――。すでに福島県内の学校の約75%が、この「放射能管理区域」レベルに達しているという。
こうした状況をふまえて、川口さんのインタビューを読んでいただきたい。

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■できることなら、この地を離れてほしい

私たち教員は、立場上、大きな声で「子どもを学校に通わせるな」とか「校庭を使わせるな」ということは言えません。なぜなら、国が「年間20ミリシーベルトまでなら子どもが被爆しても大丈夫」と公言してしまったからです。長崎大学や広島大学の教授までもが「外で遊んでも大丈夫」という声明を出していて、そういった資料が私たち教員にも配布されているので、それに基づいて動かなくてはならないのです。でも、校庭の植え込みやや水たまりなどでは、かなり高い数値の放射線量が計測されています。とても、「安全です」と言える状況ではないのです。本当は、「この地を離れて!」と子どもたちに言いたい。でも、公に言うことはできません。せめて新学期の再開を遅らせてくれれば……と願っていたのですが、それもかないませんでした。なんとかしたいけど、何もできない――。教員たちの多くは、罪悪感を抱えながら子どもたちと接しているのです。

■心配をタブー視する空気

もちろん、父兄の方々も心配しています。子どもを持つ親ですから、この状況で心配しないわけはありませんよね。でも、「心配だ」と声に出すことが、どこかタブー視されているような空気があります。「政府が大丈夫だと言っているのだから、信じるしかない」そう思って、目をつぶっておられるのでしょう。
避難できるならそれにこしたことはありませんが、どのご家庭も、とても避難できるような状況じゃないんです。先日、授業参観があって、父兄の方々と話をしたのですが、ローンを抱えている方もいれば、責任ある仕事に就いている方もいる。夫が理解を示さない方や、家族が離ればなれになるのがイヤだという方もいるんです。もちろん、ご近所の目もありますからね。そういった複雑な状況が絡み合っているので、子どもたちを疎開させたくても、我慢せざるえない状況の方が多い。私の学校で疎開した生徒は、全体のわずか1%程度にとどまっています。せめて政府が、子どもたちだけでも学童疎開させてくれればいいのですが……。

■子どもを地べたに座らせる学校も

子どもたちへの被爆対応は、学校によって温度差があります。私の学校は、他校と比べて動きが速かった。すぐに文科省から放射線測定器を借り、各クラスで毎日測定をして、数値をHPでアップしています。また放射性物質から子どもを守るためのパンフレットを作成して、保護者たちに配ったりもしました。そのほか、なるべく子どもたちを校庭に出さないようにしたり、マスクの着用や手洗い、うがいの慣行を徹底させたりしています。
しかし、他校の話を聞くと、始業式早々に避難訓練を行い、グランドの地べたに子どもを座らせたり、「国が大丈夫だと言っているんだから体育の授業もしなくてはならない」ということで、通常通り外で授業を行ったりしているところもあります。中学校では、すでにグラウンドで部活動を始めているところもあるようです。規模が大きい学校ほど、融通がきかず、国が「大丈夫」と決めたらそれに従うしかないという現状があります。

■何が子どものため?

子どもたちも、大きな不安を抱えています。でも、それを「見せまい」としている。そこが辛いんです。私も、「こんなときだからこそクラスの結束を強めようね」と、子どもたちに話していますが、本当にそれで良いのだろうか…と悩みます。だって、絆が強くなればなるほど、子どもたちは「このクラスのみんなと一緒にいたい」と思ってしまう。この学校を離れられなくなるのです。いっそ、「こんな学校、面白くないから転校してやる!」と思ってくれた方がいいのかもしれない。安全な地域の学校へ移ったほうが、本当は彼らのためなのです。

Twitterでつぶやいて!

とにかく、子どもを守りたい。学校ごと避難できれば一番良いのですが、そんなことをすれば保証がかさみますから、政府は絶対に決断しないでしょう。自主避難できる人はしてほしいけれど、それもなかなか難しい。ですからせめて、体育や部活動の自粛をしたうえで、土壌の除染作業をまずやってほしい。政府はなかなか動こうとしないと思いますが、声を上げ続けなくてはなりません。こうしている間にも、子どもたちは被爆し続けているのです。
この記事を見た人が、たとえひとりでも、福島の子どもたちのためにアクションを起こしてくれたら――。「福島の子どもたちを助けて!」とTwitterでつぶやいてくれるだけでもかまいません。それだけでも、世論を喚起し、政府を動かすキッカケになるのではないかと思っています。


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不安をあおるつもりはない。政府や研究者が「大丈夫だ」と言っているのだから「問題ない」と思う人もいるだろう。しかし、たとえ数パーセントでも危険性があるなら、できうる限りの対策を講じる義務が政府にはある。そして、政府を動かすのは他でもない私たちひとりひとりの“声”であることは間違いない。




参照:文部科学省 福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm

東洋経済 「確実に広がる放射能、福島県内学校の75%が放射能「管理区域」レベルの汚染」

http://xtw.me/X4nM6t



9 件のコメント:

  1. Twitterを通じて、このBlogに辿り着きました。
    Twitterネームはmah1207です。福島で育ち福島で青春を過ごした者として福島の子供達を自分がガキだった頃のような夢のある生活をさせてあげたく何か行動をしたいと思っています。
    色々と協力できる事や逆に協力して頂けるのであれば、TwitterからDMを頂けれは幸いです。よろしくお願いします。

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  2. たしか、毎時3.8マイクロだったと思う。

    ×:毎時3.8ミリシーベルト以上なら「屋外活動を1時間以内」
    ○:毎時3.8マイクロシーベルト以上なら「屋外活動を1時間以内」

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  3. 表記間違っていました。ご指摘ありがとうございます。
    訂正させていただきました。m(_ _)m

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  4. 本当の事を言う人が増えていますね。「文科省は子供に20ミリという高い放射線をあびさせている。疎開させれば無事なのに、なぜ子供達を被ばくさせたいのだろうか?まるで戦時中の竹槍精神を思い起こす.先生方、立ち上がってください!」http://takedanet.com/2011/04/post_faf5.html

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  5. 先生方のお気持ち、痛いほど分かります。
    成長期の子供たちにはたとえわずかでも放射線をあびさせたくないです。また、将来赤ちゃんをつくる若い男女の生殖細胞(卵子,精子をつくる細胞)の遺伝子を放射線で傷着けないようにするためにも、です。そのためには、学校ごと疎開させる必要があると思います。長野・W(教員)

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  6. はじめまして。

    あまり危険を煽りたくないので強く書きたくはないのですが、書かせていただきます。

    今国が出している基準は外部被曝の事だけしか考えていません。

    内部被曝のことまで考えれば今の基準の10倍厳しくした方がいいという情報もあります。

    また、子供に関しても今の基準の10倍厳しくした方がいいという情報もあります。

    つまり、子供の場合10~100倍厳しくしておいた方がいい可能性があります。

    ICRPの基準だったと思いますが、これは外部被曝の事だけしか考えていなくてこの基準だけを考えるのは良くないとICRPが数年前公式に発表したという情報もあったと思います。

    確かに今使っている基準は1000~10000人に一人ががん・白血病になる基準だったと思いますが、たった一人でも無理矢理病気を一生背負って生きていかなくてはならないのはとても辛いと思います。

    しかも、10~100倍厳しくした見積もった場合もっと犠牲になる方が出てしまうかもしれません。

    今まで調べた中ではチェルノブイリは最大900万人の犠牲者が出たという情報もあったと思います。たぶん小さな病気も含めて。

    実は、がんや白血病だけではなく、免疫力が下がってただの風邪をひく場合もあるそうです。

    大人の場合も実は危なくて心臓病、血管関係の病気など油断はできないと思います。

    ただ、全員がに病気になるわけではありませんし、自然に病気になってしまわれる方もいらっしゃるので何とも言えないですが、チェルノブイリ・大気圏核実験・通常運転の原子力発電所の周辺など極微量でも様々な病気が増えているという情報もあります(実際は科学的に関係性は明らかになっていませんが、統計的には確実に増えています)。

    僕は、病気を一生背負わせていく可能性を否定できません。


    ここからは僕個人の意見です。

    なぜ福島の方々は自分で調べないのでしょうか?

    調べれば安全だもしくは危険だと言う情報はいくらでも出てきます。

    一部の方は調べて抗議をしているようですが、まだ残っている全て方のはどうなのでしょうか?

    僕は20ミリシーベルトを下げるように抗議している場合ではないと思います。もちろん国が基準を変えて国に避難を援助してもらいたい気持ちはわかります。

    でも、出来る限り早く避難してほしいです。

    国は震災の対応に追われていますし、裏事情もあるようでそう簡単には動かないと思います。

    もちろん避難する場所もなかなか見つからないでしょうし、避難した先で生活や仕事が保障されるわけではないですが、健康な体の方が大切だと思います。

    避難場所は無駄に作られた公営住宅・団地もしくは東京電力の保養所を2年くらい無料で使えるように抗議してはいかがでしょうか?(20ミリシーベルトを下げる抗議より)それとももうすでに避難している方が住んでいるのでしょうか?

    もう一つ重要な事ですが、どこへ避難しても日本中に原子力発電所・放射性廃棄物処理所があります。


    あくまで可能性の話なので責任はとれません。それと情報が曖昧な物もあって申し訳ありません。たくさん情報があるのでどこに何が書かれているのか覚え切れません。

    今でも少しずつ調べています。

    http://keng00gnek.blogspot.com/2011/03/blog-post_29.html

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  7. 教師は、政府の発表や周囲のタブー視に合わせるのではなく、正しい判断で子供たちを守るべきだと思います。教師が、間違ってると思うのに政府の方針に合わせるということは、子供たちを一緒に危険にさらしてることになります。
    正しい認識をされている教員は一人ではないはずです。最初は少数でも正しい認識を教員間に広めて、多人数で子供たちの健康と未来を守るために立ち上がるべきです。

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  8. http://ameblo.jp/anmintei/entry-10876272382.html#main
    御用学者の小佐古参与ですら高すぎると言って抗議の辞任をしています。
    もう60過ぎのおじいちゃんが残るのは構いませんが子供は逃がすべきです。

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  9. この問題については文部科学省にメールしました。読まない可能性もあるので電話で要望(平日昼間しかやっていません)、福島の教育委員会PTAは、近隣の議員さんに要望、のどれかか全部位はやってみたほうが良いかも。

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